Vernon Lee (Violet Paget)

The United Kingdom

イギリス(The United Kingdom) 

The United Kingdom

 イギリスはヴァーノン・リーの両親の故郷。しかし、リー自身はフランスで生まれ、ドイツ、イタリアで暮らしていたため、イギリスが自分の故郷という意識はリーには希薄であったと思われる。リーはよく言えばコスモポリタン、もしくは根なし草的なところがあった。
 1862年、パジェット一家はイギリスを訪れ、ワイト島で一夏を過ごしている。リーが初めてイギリスの地を踏んだのはこのときである。ただ、リーはまだ6歳ほどで、このときのイギリス訪問は彼女に大きな影響は与えなかったと思われる。
 1881年にリーは再びイギリスを訪れ、ロンドンのGower Street 84番にあった友人のロビンソン一家のもとに滞在している。母親への手紙の中で、この訪英の目的を文学関係の知人を増やすことであったとしているほか、リーはイギリスでの自著の出版へつなげたいという思いを抱いていたと推測される。このとき、ロバート・ブラウニング、アンドリュー・ラング、アルマ・タデマ、レズリー・スティーヴンらに面会して刺激を受け、さらにはオックスフォードを訪れ、ウォルター・ペイターとその姉妹やオスカー・ワイルドにも会っている。また、劇場にも通いつめ、Patienceを見たほか、サラ・ベルナールやエレン・テリーら当時イギリス演劇界の大物の舞台を観劇している。その後も、何度もリーはイギリスを訪れている。
 リーはgenius lociが感じられる土地を愛しており、リーにとって産業化が著しく、古い景色が失われつつあったイギリスはgenius lociを感じづらい土地であったようだ。世評の高いリーの幻想短編群にも、イギリスを舞台にしているのは"Oke of Okehurst"のみである。イギリスという土地はリーに多くのインスピレーションを与えてくれる土地ではなかったらしい。'Oke of Okehurst'に登場する幽霊屋敷についても、genius lociの土地ではない、と主張する研究者もいる。
 1881年の母親宛ての書簡では、ロンドンの雰囲気のことを"unwholesome moral & physical atmosphere"と書いており、彼女のロンドン、ひいてはイギリスに対する感情がうかがえる。(Complete Letters, Volume1, P. 328.)
 なお、Juveniliaでは、イギリスをイタリアと比較して次のように書いている。"You have just been in England, and England shows its evils grimly, as much as Italy, unconsciously, thanks to climate, beauty, and a certain dignified stagnation, hides them. Moreover, while Italy makes one think of the past; England, inevitably, leads one to speculate upon the future: each country is a key to what is not yet, or no longer, mere present."
 Laurus Nobilisでは、ロンドンについて次のように書いている。"Out of London at last; though after only two months! Not, indeed, with in a walk of my clump of bay-trees on the Fiesole hill; but in a country which has some of that Tuscan grace and serene austerity, with its Tweed, clear and rapid in the wide shingly bed, with its volcanic cones of the Eildons, pale and distinct in the distance."
 1914年に第1次世界大戦が勃発すると、リーはドイツに共感するような発言をし、多くのイギリス人の友人を失っている。大戦勃発当時、リーはイギリスに滞在中で、そのためイタリアへの帰国が遅れている。また、リーはイギリスの植民地政策に反対しており、ボーア戦争にも反対している。

English
前のページにもどる

powered by Quick Homepage Maker 5.1
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional