Vernon Lee (Violet Paget)

トルストイ

レフ・トルストイ(Leo Tolstoy)

Tolstoy

 1828~1910年。ロシアを代表する小説家。『戦争と平和』、『アンナ・カレーニナ』などの作品がある。
 1887年発表のヴァーノン・リーのエッセイJuveniliaは、彼女の芸術や社会に対する考えが大きく変容したことを示す作品で、ピーター・ガンは彼女の考えがトルストイのそれに接近したことを指摘している。つまり、芸術とは、それを最も必要としている貧しい人々に、光(light)、理解(understanding)、喜び(pleasure)を与えるものだ、とする考えで、これが両者に共通している、という指摘である。また、芸術が人々に喜びを与え、人々の理解と共感を広げるとしても、それはmajorityの生活には影響せず、minorityに対するものだ、という考えも両者に共通する、ともガンは指摘している。

War and Peace

 ヴァーノン・リーはトルストイをラスキンと並び"greatest artists of our times"('Art and Usefulness in Laurus Nobilis)とし、トルストイの小説を称揚しつつも、その思想には必ずしも共感していなかった。 
 リーは'Tolstoy as Prophet: Notes on the Psychology of Asceticism',そして'Tolstoy on Art'というエッセイを書いている。(ともにGospels of Anarchy収録)前者はLife and Deathなどを俎上にのせ、トルストイWhat Is Art?で唱えられるgospel of asceticismを否定的にとらえている。また、"at the bottom of the Tolstoian conception of love (which is only the usual ascetic one) is the old, savage notion of sacrifice"と書いている。後者では、トルストイにとっては、徳(virtue)に通じないものはすべて無用であり、芸術も科学も徳を増すためにのみ存在した、としている。そして、リーは徳と芸術・科学を結びつけるトルストイに異を唱えてる。("The use of a genius like Tolstoy's is to show us in what particulars human institutions, habits, and thoughts are morally wrong."P.114.)
 The Handling of Wordsでは、トルストイの『戦争と平和』に登場するAnatoleとDologhowを、互いのfoil(引き立て役)として設定された登場人物の例としてあげている。そして、トルストイを「総合的な小説家」の代表としている。(詳しくはこちら)また、Laurus Nobilis収録の'Art and Usefulness'にも、トルストイへの言及がある。'Wasteful Pleasure'では、masculinityを維持する為にはスポーツマンとして戸外で過ごすことが必要であるとし、トルストイCossacksAnna Kareninaを読めばわかるとしている。また、同書で次のように書いている。"The novelist can show us beautiful places, make us live in company with delightful personalities-Stendahl's Duchess to Tolstoi's Natacha, from Robinson Crusoe to Diana Warwick." (PP68~69.)
 なお、マックス・ノルダウはDegenerationにおいて、トルストイを"mental aberration", "a form of the phenomenon of degeneration"であるとしている。

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