Vernon Lee (Violet Paget)

ウェルズ

H.G.ウェルズ(Herbert George Wells)

H.G.Wells

 1866~1946年。イギリスの小説家、社会思想家。『タイムマシン』(The Time Machine,1896)『透明人間』(The Invisible Man,1897)等の作品でSFの父と呼ばれる。後年は『トーノ・バンゲイ』(Tono-Bungay, 1909)などの普通小説も手掛けた。また、社会思想家としても多くの発言をしていて、社会主義者でもあった。ウェルズはフェビアン協会の有力な構成員の一人であった。平和主義者としても発言していて、今日の国際連合憲章の元型をつくったとされる。
 リーとウェルズは友人であった。リーがウェルズの小説を賞賛する手紙を送ったことから友情が始まった。リーはウェルズの科学に関する学識を尊敬し、多くの考えを共有していた。二人は手紙のやり取りを続け、お互いの本を贈りあった。リーはウェルズを"My dear fellow Utopian"と呼び、自らをウェルズの'Sister in Utopiaと呼び、さらに'Mr. Wells and I are fraternally united"と述べている。('A Postscript about Mr. Wells')

A Modern Utopia

 リーはとりわけウェルズの『現代のユートピア』(A Modern Utopia, 1906)に関心を抱き、'On Modern Utopias: An Open Letter to H.G.Wells',と 'A Postscript About Mr. Wells'というウェルズ関連のエッセイを二本書いている。(ともにGospels of Anarchyに収録)『現代のユートピア』では「サムライ」と呼ばれる貴族が支配する理想的な平等社会が描かれている。'On Modern Utopias'はウェルズへの書簡という形をとっており、ウェルズの仕事に一定の評価をしつつも(リーはウェルズの作品ではKippsを評価していたようだ)、科学の進歩に対する楽観的態度には批判的な部分もある。リーによれば、人は現在のことで手いっぱいで、未来に悩むことはない。そして、"The metaphysics of your worship of the Future are, I venture to say, wrong, as wrong as those of any other priest preaching of any other Kingdom of Heaven"と述べている。リーはウェルズの未来崇拝に対し、"I return to my worship of the Present"と述べている。
 一方、『現代のユートピア』の世界では、男女は平等であるし、ウェルズはフェミニズム小説『アン・ベロニカの冒険』(Ann Veronica, 1909)も書いている。このことからウェルズをフェミニストととらえることも可能だが、その一方でウェルズが私生活においては多くの愛人をもっていたことは有名。リーはウェルズの女性関係については批判的な手紙をウェルズに認めてもいるが、それでもリーはウェルズとの関係を断つことはなかった。このように、リーのウェルズ評は賞賛と批判が混じり合ったものであったが、ウェルズはそれを受け入れ、友情は第一次大戦勃発まで続いた。
 なお、リーのエッセイ集Gospels of Anarchyウェルズに捧げられている。

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